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2014.09/19 高分子の難燃化技術(3)

 

燃焼時にガラスを生成する難燃化技術は、当時の高分子難燃化技術分野の常識を超えた技術であった。当時まだ三酸化アンチモンとハロゲンの組合わせ難燃剤が注目されていた時代で、この難燃剤システムの問題解決のため各種リン酸エステル系難燃剤の開発競争が行われていた。

 

大八化学はその先端を走っていた会社で、ポリウレタンの事業も行っていたゴム会社には新製品が多数持ち込まれていた。この新製品の評価を幸運にも担当することができ、リン酸エステル系難燃剤の問題点を理解することができた。

 

今でもリン酸エステル系化合物を用いたイントメッセント系の難燃剤開発が行われているが時代遅れのような気がしている。リン系難燃剤の特徴的な難燃化機構は3パターンあり、新しいイントメッセント系難燃剤をリン酸エステル系難燃剤で開発するぐらいならホスファゼンを素直に活用したほうが良い。

 

ホスファゼンは始末書を書くことになった化合物だが、当時先端材料として日本曹達や大塚化学はじめ中堅化学メーカーが積極的に取り組んでいた。ゴム会社で開発されたリチウムイオン電池用難燃剤は日本化学で生産されているが、もしこれらの会社がもう少し早くホスファゼンを事業化していたなら始末書を書くことにはならなかった。

 

ホスファゼンについては大学院修了後、ゴム会社へ就職するまでの半月近く暇だったので趣味的に研究する機会ができた。大学院2年間ご指導してくださった先生のご厚意である。ただ社会人になってからもこの時の成果を論文にするように尻をたたかれたのには困った思い出がある。指導熱心な先生や諸先輩に恵まれたゴム会社の12年間だった。

 

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

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