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2014.10/01 高分子の難燃化技術(15)

フェノール樹脂天井材は実用化されたが、その検討過程でエチルシリケートとフェノール樹脂をうまく混合できなかったことが気がかりだった。周囲の有識者は、フローリーハギンズ理論から当たり前だという。

 

確かにエチルシリケートとフェノール樹脂とではSP値が大きく異なり、χは極めて大きくなる。ただ、軟質ポリウレタンフォームや、硬質ポリウレタンフォームのようなリアクティブブレンドを経験した感覚から、リアクティブブレンドならばフローリーハギンズ理論に無関係で高分子を均一分散できる、と思っていた。

 

教科書どおりにχを信じる限りにおいては、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂との混合は、検討してもムダである。しかし、リアクティブブレンドであればχとは無関係に二種の高分子を均一混合できるはずである。

 

すでに活動報告でこの後の行動を書いたが、プロジェクトが解散した後のフェノール樹脂の処分を一人で担当して、この問題を考えた。高分子の難燃化技術から高純度SiCの技術シーズがその後誕生している。

 

フェノール樹脂天井材の開発を終えて無機材質研究所へ留学することになるのだが、高分子の研究から全く畑違いのセラミックスの研究にもかかわらず、技術の視点で材料を開発してきた影響で違和感は無かった。

 

科学分野で専門的に研究されている方の多くは、専門分野が変わることに躊躇される方が多い。例えば有機化学からセラミックス分野への専門の変更は、ほとんど受け入れられないだろう。

 

しかし、技術者は材料技術や電気電子技術といった専門分けはあるけれど、どのような技術でも担当できるケースが多い。また、材料技術者が電気電子部品の会社に勤めたならば、昨今の御時世では、それができなければリストラの対象となるだろう。

 

科学分野は真理を追究するためにロジックが中心となり、厳密なロジックを構築するには専門性に秀でた人が有利である。対して技術開発は、ヒューマンプロセスの占める領域が多く、専門性よりも幅広い問題解決力の秀でていることが求められる。このあたりについては、www.miragiken.com   の最初の部分で少し議論しています。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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