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2014.10/21 技術の伝承(2)

ラテックスを用いたPETの表面処理技術は、写真会社で技術が磨かれてきた可能性が高い。特許を整理してみても、特殊なラテックスが昔から使われていた。その合成技術にしても生産技術が難しい材料が実用化されていた。

 

当然それらを開発した時の考え方や合成技術のデザイン方法など伝承されていて良いはずなのだが、中堅技術者に質問しても担当が異なるから、という回答しか得られない。現場に入って学ぶしかない、と決心し、あるプロジェクトの若手リーダーにお願いし、部下にして頂いた。

 

現場で実験を行いながらさらに驚いた。物性測定にしても特殊な測定法をルーチンとして実験補助者と称する女性陣に任せ実験を進めている。その実験では測定値だけで無く、測定中の挙動も重要なはずだが、それを観察し記録する習慣すら無い。

 

確かに品質スペックは測定値だけなので、他の情報は不要かもしれない。しかし、計測中の挙動には材料の脆さなどの情報も観察されるので異常があったときにはメモをするのは当然だが、異常が無くともキズの付き具合などはメモっておくと後で役にたつ。

 

若手リーダーに話したところ、どのみち品質規格値を満たさなければ採用されないのだからそれでも良いでしょう、と問題意識が希薄である。製品を現場で管理する立場ならそのような考え方で許されるかもしれないが、研究開発の現場では新しい知見の発見も大切な業務である。

 

最近ではSTAP細胞の騒動で若手研究者が、ハートマークやマンガを実験ノートに書いていたが、肝心の実験に使用したサンプル情報などを残していなかったために騒動になったばかりである。

 

当たり前と思われることでも研究段階で観察されることを記述する習慣の伝承は、技術の伝承の一部である。研究開発業務に携わる場合に大事な習慣である。

 

カテゴリー : 一般

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